台湾・南樺太・千島諸島は国際法上日本に帰属する
台湾と千島諸島・南樺太を日本は『サンフランシスコ平和条約』第2条で「放棄」した、と一般には解釈されているが、それは同条約第25条の規定を無視した解釈である。
同条約第25条においては、同条約に署名・批准していない国は「連合国」には含まれず、同条約上の連合国でない国のために日本の利益が「減損」することはない、としてある。
従って、『サンフランシスコ平和条約』に署名も批准もしていない中国とソ連は同条約上の連合国ではないため、中国やソ連は台湾や千島諸島・南樺太の領有権を主張する権利はなく、また、日本の台湾や千島諸島・南樺太における権利が「減損」することはない。
ちなみに、第25条には例外規定がいくつかあり、その一つの第21条では朝鮮は第2条における独立の権利を「連合国」ではないけれど主張できる。（それは当たり前の話だが、ちゃんと第21条に明文的に例外が記されている。）
だが、中国やソ連（ロシア）にそのような例外規定は存在しない。
さらに、第26条では『サンフランシスコ平和条約』締結から三年以内に他の連合国と講和条約を締結する際には、『サンフランシスコ平和条約』と実質的に同じ条件で締結されなければならない、とある。
要するに、『サンフランシスコ平和条約』第2条で日本は台湾と千島諸島・南樺太を「放棄」したはずが、その内容は第25条の規定により「空文化」されている。だから、将来日本が中国やソ連と講和条約を締結する際にこの規定を守らせよう、という戦勝国側の魂胆であった。
ところがところが、冷戦が当時の連合国の想像以上に激しくなり、日本は三年以内に中国やソ連と講和条約を締結することができなかった。
そもそも、ソ連とは戦争終結という意味では『日ソ共同宣言』という形で講和条約を締結できたものの、領土問題の解決も含む本格的な講和条約はソ連が崩壊してロシアになった今でも締結されていない。
どうして『サンフランシスコ平和条約』第26条に「三年以内」という期限が設けられたのかと言うと、それは「事情変更の原則」が国際法にはあるからだろう。
つまり、三年以上経過すると『サンフランシスコ平和条約』の時代とは事情が異なるから、同じ条件で講和することに拘泥する必要はないわけである。
三年どころか、70年以上たっても我が国は台湾と千島諸島・南樺太の帰属に関する正式な条約を締結していないが、上記の経緯から考えると、日本が台湾と千島諸島・南樺太の領有権を主張することには充分正当性があり、既に空文化している『サンフランシスコ平和条約』第2条の規定に拘泥する必要はないのである。
簡単に言うと『サンフランシスコ平和条約』第2条に規定された領土は、『サンフランシスコ平和条約』を署名・批准した国か、『サンフランシスコ平和条約』締結の3年以内に日本と講和条約を締結した国が領有権を主張しない限り、日本の領土である。
唯一の例外が朝鮮であるが、この条約における「朝鮮」がどの政府であるかの解釈は未だ定まっていない。日本は韓国を正統政府であるとしているが、今後の国際情勢次第で大きく変わり得る。
では、朝鮮以外の地域はどうか？
まず、南極についてだが連合国は「日本が南極の領有権を主張するのではないか？」と疑っていたようである。
現実問題として日本が南極の領有権を主張することはないと思うのだが、この問題については私は詳しくないので興味のある方に委ねる。
台湾と千島諸島・南樺太は現時点では日本に残留している。
無論、中国やロシアとの交渉次第で変わり得るのだが、私は個人的には領土問題に現時点で白黒はっきり決着をつける必要はないと思う。
というのも、領土問題に下手に決着をつけようとするとそれは武力衝突の恐れがあるからだ。「現時点で」日本が中国やロシアと戦争すると、まぁ、怖ろしいことになるだろう。今は耐え忍ぶ時だ。
ただ、台湾と千島諸島・南樺太が国際法上日本の領土である、ということは主張すべきだ。言うだけならタダである。
国際社会では「言うだけ」でも効果がある。韓国の歴史改竄だって、日本よりも国力が劣る国であるにもかかわらず、「言うだけ」で「効果」を得ているではないか。
西沙諸島と南沙諸島については、この地域の領有権を主張できる国はフィリピンとベトナムに限られることになる。
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