新興宗教の結婚式 ~殆どの信徒は伝統宗教で挙式~
新興宗教というと、伝統宗教を否定しているかのようなイメージを持たれがちですが、私の知る限り伝統宗教からの改宗を求める新興宗教は創価学会や顕正会、エホバの証人ぐらいです。
逆に伝統宗教でも日蓮正宗やキリスト教は改宗を求める訳ですが、それはまたの話として。(私はかつて日蓮正宗に折伏されたこともありますが、それもまたの話とします。)
改宗を求めない新興宗教でも、結婚式等で独自の儀式を行っているところがあります。
私は霊感商法云々が無くても合同結婚式をやっている時点で家庭連合だけは信仰したくないと思いますが(笑)、それでも信じる人が世の中にはいるのですから、多様性ですね。とは言え、私が家庭連合を批判しているのは彼らの自民族中心主義や自民党支持が私の信仰とは相容れないからです。合同結婚式を挙げるだけだと信仰の自由の範囲内ですが、自民族中心主義を唱えて政治にまで手を出すと批判の対象になるのは当然です。
しかし、やはり家庭連合みたいな新興宗教も例外で、多くの新興宗教は結婚式も普通に伝統宗教の方式で行います。
私の知人でもある小川寛大氏が『週刊ポスト』に載せた記事から引用しますね。
生長の家(本部=山梨県北杜市、谷口雅宣総裁、信者約41万人)の信者が話す。
「私は一般の神社で、ごく普通の式を挙げました。相手は無宗教の女性ですが、とくに入信は求めなかったですね。後になって教団の本山で挙式することもできると聞いて、『へーっ』と思ったくらい。一部の熱心な人を除けば、結婚に宗教観を絡ませてはいないんじゃないかな。特に教団から『結婚はこうしましょう』などといった話を聞いた記憶もありません」
立正佼成会(本部=東京都杉並区、庭野日鑛会長、信者約237万人)のある信者も、「特別なしきたりや決まりもなく、みんな普通に結婚して、挙式も一般の式場でしているはずです」と語る。同会に訊くと、「会として定めている結婚式の形式はあるのですが、ここ数年、実際に行なわれたことはありません」(渉外グループ)との回答だった。
生長の家と立正佼成会はとても近い立場にある宗教団体ですが、結婚式事情も結構似ているみたいですね。
生長の家信者の結婚式は先ほどの引用にもある通り、神前結婚式が多いです。とは言え、私の両親はキリスト教式でしたが。
両親は教会ではなくチャペルで式を挙げたそうですが、一応事前に教会に通ったらしいです。洗礼を受けることまでは求められなかったとか。
これは全くの無関係な話ですが、生長の家総裁の谷口雅宣先生はキリスト教系の青山学院大学の出身ですから、生長の家信徒にとってはキリスト教には実は大して抵抗はありません。キリスト教側には生長の家を攻撃している人が結構いますが。💦
とは言え、生長の家の祭典は神道式が多いです。神仏習合の形態の儀式も結構ありますけどね。
そういう訳で、一般信徒にとっても神前結婚式の方が馴染みがあるかもしれませんが、キリスト教式を否定している訳ではない、と言う感じです。
生長の家宇治別格本山にある宝蔵神社でも神前結婚式をしているのですが、先ほどの引用先にも書いている通り宝蔵神社で結婚式を挙げない信徒の方が多いです。一般の神社で挙式をしているみたいですね。
もっとも「宝蔵神社の結婚式の方が他の神社の結婚式よりも安いですよ~」と聞いたことがありますが。
宇治別格本山の職員でさえも一般の神社で結婚式を挙げている例が多いので、生長の家の結婚式は一般の人とあまり変わらないと思って間違いないと思います。
なお、生長の家総裁の谷口雅宣先生と生長の家白鳩会総裁の谷口純子先生の結婚については谷口純子先生のご著書に書かれてありました。
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ここまで神前結婚式とキリスト教式結婚式の例を挙げましたが、当然、仏前結婚式を挙げる信徒もいるとは思います。生長の家の信徒の多くは伝統仏教の檀家です。
とは言え、これは生長の家に限らず伝統仏教の檀家でも仏前結婚式を挙げない方の方が多いですよね?
それは仏教の教義に原因があります。
仏教の具足戒には媒嫁戒というのがあり、比丘が婚姻に関与することは禁じられています。具足戒というと上座部仏教の戒律と言うイメージがありますが、大乗仏教でも奈良仏教や真言宗、臨済宗では形骸化しているものの今でも授戒されています。
(※「大乗仏教の戒律は緩い!」と思い込んでいる方は、一度禅寺で修行してその厳しさを思い知った方がいいと思いますよ。真言宗でも荒行という超厳しい修業があります。)
だから仏教が教義的に積極的に婚姻に意義を見出すことは、歴史的にあまりなかったのです。
今では海外でも仏前結婚式が行われていますが、日本の仏前結婚式は国柱会という新興宗教の創始者である田中智学が提案したものです。
「え?仏前結婚式って、新興宗教由来なの!?」
と驚く方がおられるかもしれませんが、そうなのです。
国柱会は日蓮宗系の新興宗教なので、日蓮宗の寺院では仏前結婚式を行っているお寺は比較的多いと思います。日蓮宗の総本山である身延山の公式サイトでも仏前結婚式が紹介されています。
高野山でも仏前結婚式を挙げる例はあるはずですが、流石に公式サイトで宣伝はしていませんね。日蓮宗は最初から具足戒を受けていないと言う事情もあるのでしょう。
そういう流れで、日本人の多くは仏教徒ですが、歴史的に仏前結婚式はあまり広がらなかったのです。
そんな中、キリスト教は結婚を神との契約とする教義を持っているので、近代以降布教を許可されたキリスト教は積極的にキリスト教式結婚式を弘め、それが仏教徒の日本人にも受け入れられました。
なので、今の日本ではキリスト教式結婚式の方が主流のはずです。
それでは神前結婚式を選ぶのはどういう人かと言うと、漠然と「昔ながらの和風の結婚式がいい!」と言う人が多いでしょう。
但し、神前結婚式は神社の神様に結婚を誓約すると言う儀式ではなく、むしろ神様への報告と言う意味合いが強いです。これまた結婚式本体よりも披露宴が大好きな日本人に合う、日本的な結婚式であると言えますね。(笑)
もっとも、かつて「敢えて和風の神前結婚式」を選んだ人の中に、こんなツイートをする人がいて仰天したことがありますが。
挙式をしたい神社さんが決まったので、正式な申し込みに行ったのですが、申し込みの書類に「婿取・嫁取」という選択欄があって、そこだけ空欄のまま渡したら「婿取り、嫁取りどっちですか」って聞かれて強制的に「家制度の価値観」を押し付けられてメンタル沈んだ……私はすぐに答えられなくて、同席してくれていた母が「一応……この子が姓を変えるので、嫁取り、ですかね」と最大限私の気持ちに配慮しながら言ってくれたのだけど、直後に「まあ変えへんかもしれんけどな」と口から出た。神職さんは笑ってたし、別に気まずい空気にもならなかったけど、嫌な気持ちだけが残った。
これ、普通の人なら「家制度の価値観」が嫌なのにどうしてわざわざ神前結婚式を選んだの?と言う疑問を抱くと思います。
キリスト教式結婚式ならば家なんかあまり関係なので、より一般的であるキリスト教式結婚式を選べばいいのにね。それこそ信教の自由があるんだから。
生長の家は家を重んじる宗教ですから、その意味でも神前結婚式との相性は良いと思います。
生長の家に限らず霊友会や立正佼成会と言った日本の有力な新興宗教は家を重んじるところが多いです。これらの宗教の共通点は結婚して相手の家に入っても、実家の先祖供養も嫁ぎ先の先祖供養も両方行う、と言ったところにもあります。
とは言え、キリスト教式結婚式を否定している訳では無いですし、昔ながらの家というものに拒否感がある人はなおのこと、キリスト教式結婚式を選んだ方がストレスをかんじなくてすむのではないでしょうか?
あと、どうでもいい余談で括りますが、先ほど紹介したツイートの神職の方、「女性が改氏して当然」と言う態度ではなく「男性側が改氏する可能性」も十分考慮して話を進めている時点でかなり良心的ではないですかね?
何しろフェミニストを自称する方からして「男性改氏運動」について「男性を洗脳する気か!」と反発する有様ですよ?
普段(口先だけ)「男女平等!」を言っておきながら「男は改氏しないのが当然!」と思っている左翼の皆様と比べて、この神職はまともだ・・・。
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