生長の家正統派青年のブログ

生長の家青年会一信徒の個人のブログです。正統な宗教法人「生長の家」は1983年に自民党と訣別し、2016年以降は全ての国政選挙で自民党不支持を訴えています。ブログ記事の文責は教団ではなく私個人にあります。

大聖師・谷口雅春先生は支那事変は日本に非があると認めている

 インターネット上で大聖師・谷口雅春先生が大東亜戦争を「侵略戦争」と読んでいたという文章が指摘されると、自称「生長の家本流運動」に属する則天去私氏がブログでそれは占領下の検閲によるものであると主張し、谷口雅春先生と武藤貞一氏の共同論文である「日本は侵略国ではない」を紹介している。

 しかし、私自身が既に指摘しているように雅春先生は昭和58年12月号の『理想世界』誌に掲載された文章「私は今後絶対に「戦争」を起こさせたくない」で「日本軍の南京大虐殺と云う四十数年後の今も尚忌々しい汚名を払拭することのできない日本兵の深刻なる残虐の歴史が刻まれる悲劇が生じた」と明記しており、戦後になっても支那事変を含む大東亜戦争(国内法では、大東亜戦争には支那事変も含まれる)について南京事件等の負の側面があったことを認めている。

 一方で、則天去私氏が紹介した論文はそもそも武藤貞一氏との共著であるから、谷口雅春先生の思想がストレートに反映されている訳では、無い。

 その上、則天去私氏からの孫引きになるが、その共同論文においても決して「日本は侵略をしていない」とは書いていないことが判るので、則天去私氏のブログから一部を抜粋してみたい。

 この論文は日本が「現在は」侵略国では無いというものであって、序論の部分にはこう記されている。

 今日、世界広しといえども、戦争放棄憲法に明記している国は、日本以外のどこにあるだろうか。自衛隊は米占領軍の命令によって創設されたものであるが、占領解除、独立後も、日本はあくまで憲法に準拠して、いわゆる専守防衛に徹し切っている。その後、ソ連の驚異的軍事力大増強に伴い、わが固有の北方領土にまで軍事基地を構築するに至って、北海道をはじめ、わが本土が直接侵略の脅威に暴される事態となったが、なお日本国民の防衛意識は極めて稀薄であり、アメリカから防衛力強化について矢の催促を受けながらも、なお日本政府は頑として応ずる気配を見せない。そしてわずかにGNP1%未満の軍事費をもって極限としているのである。

 これを見ると、当該論文は日本が「戦争放棄憲法に明記している」ことを肯定的に評価しているということが判る。

 実際、谷口雅春先生は先述の『理想世界』の記事において「どんな理由があるにしても、その弊害の方が大きいので私たちは戦争をしないように、常に国際関係を調節して行かなければならない」と述べられ、また『私の日本国憲法論』では「この“戦争放棄”の条項は、ぜひとも改正しなくとも自衛隊や国防軍をもつことができないわけではないから、この第九条の戦争放棄のみが問題であるならば、日本国憲法の改正を必要とする必須の問題ではない」と述べられている

 また、則天去私氏が引用した論文でも日本に非があることは認めてある。

 近衛内閣の不拡大方針か示したように、日本車は、中国側の「ここまでお出で」政策に、つい引っかかって、のめり込んで行った。非はもちろん日本軍にある。だからこそ、日本は開国以来初めてという大刑罰を受けたのであり、日本はこれ以上果たしようのないほど物心両面の報いを甘受したのであった。

 繰り返すが、この論文は谷口雅春先生と武藤貞一氏との共著であるから、細かい文言までもが谷口雅春先生の思想ということは出来ない。

 生長の家長老の妹尾壽夫先生は谷口雅春先生の大東亜戦争観についてこう纏めておられる。

 このように見てくると、谷口雅春先生は大東亜戦争の「理想」と「現実」について説かれたと言うことができると思います。
 つまり、当初は「大東亜戦争の理想」を説かれて「皇軍」や「聖戦(解放戦争)」を唱えられ、その後、岡村大将から「大東亜戦争の現実」を如実に知らされるに及んで、実際の日本軍や戦争は「皇軍」や「聖戦」などではないと否定されます。そして、公職追放解除以降は、自己否定的な反日本論が渦巻く中、「皇軍」や「聖戦」などではなかった「大東亜戦争の現実」を認められる一方、天皇制をはじめ日本民族の理想や誇りを守るため、再び「大東亜戦争の理想」を説かれました。
 しかし、このことは、谷口雅春先生が大東亜戦争のことを「正しい戦争」だとか「聖戦」であるとして再評価されたのではないことを理解する必要があります。先生は昭和五十八年十月号の『生長の家』誌「明窓浄机」欄で、戦争の勝敗は内面的には「どちらの軍隊が一層道徳的で神意に叶うものであるか」によって決定する、と述べられています。つまり、これを言い換えれば、日本軍は大東亜戦争で敗れたわけですから、対戦相手に比べて一層神意に「叶わなかった」という結論に導かれると思います。
(妹尾壽夫「大東亜戦争をめぐる“評価”の変遷」谷口雅宣監修『歴史から何を学ぶか』所収、太字は引用者)

 この妹尾壽夫先生の評価は私も大いに納得するものである。谷口雅春先生が「現実の戦争」を肯定されるはずがない。

 なお、谷口雅春先生と大東亜戦争の関係については、以下の本も参考になる。

 

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