倭の五王が天皇家(大和王朝)ではなく九州王朝である根拠
九州王朝説論者の間では常識になっている話も、一般の読者には「トンデモ説」に見えてしまう話もあるので、今日は倭の五王が定説でいうような大和の大王ではなく、九州王朝の大王であるという話をします。
現在、歴史教科書では「倭の五王=大和王権の大王」であり、その中でも「倭王武=雄略天皇」というのは確実である、とされています。そして、五世紀にはすでに大和王朝を中心に倭国は統一されていた、とするのです。
倭の五王というのは、『宋書』という中国の歴史書に掲載された五世紀の倭国の王のことです。
それでは、倭の五王の活動した年代を見てみましょう。(史書の記録で確認できる年代なので、一部の王にはブランクがあります。)
参考までに、前代の王との続柄も付記します。
倭王讃 413~425
倭王珍 430~438(讃の弟)
倭王済 443~460
倭王興 462~477(済の息子)
倭王武 478(~502)(興の弟)
※倭王武は478年に宋に朝貢後、斉と梁の史書に名前は残るものの公式な朝貢記録はない。
さて、それでは、「倭の五王が大和王朝の大王であるという定説は正しい」と「仮定」してしましょう。数学でいう「背理法」の論法です。
そして、定説通り「倭王武=雄略天皇」としましょう。この場合、雄略天皇の父親は允恭天皇、兄は安康天皇なので、通説が正しいと次の比定が成り立ちます。
<通説による比定>
実際、定説派の多くの学者はこの比定が正しい、としています。
では、これらの天皇の在位年代と倭の五王の在位年代は、果たして一致するのでしょうか?
『日本書紀』の在位年代については、神武天皇の即位年が紀元前660年になってしまうなどの問題があるので、信憑性が低いというのが定説になっています。
ならば、『古事記』における記録を見てみましょう。『古事記』は『日本書紀』と違って体系的な年代の記述はありませんが、それだけにより源資料に忠実な可能性があります。
そして、『古事記』には五世紀前後の天皇の多くについて崩御された年の干支が記されているので、比較には最適です。では、『古事記』による各天皇の崩御年代を見てみましょう。
応神天皇 394
仁徳天皇 427
履中天皇 432
反正天皇 437
允恭天皇 454
安康天皇 不明
雄略天皇 489
これを見ると、雄略天皇については502年に梁から征東将軍に任命されたという記録はあるものの、この時に正式な朝貢の記録はありませんから、可能性としては既に雄略天皇は崩御していたのだ、という「仮説」も成り立たないことはありません。
また、安康天皇についても崩御年代の記録が残っていないので、「矛盾はない」と言えそうですが、一致しているという根拠もありません。
そして、問題は允恭天皇です。『宋書』「考武帝紀」によると460年にも済は総に朝貢していたはずなのですが、允恭天皇は454年に崩御しています。
この矛盾は、倭王讃と倭王珍の話になると、さらに大きくなります。
讃は413年から425年まで活動していますから、この時期は仁徳天皇の時代です。しかし、仁徳天皇の次に天皇になった履中天皇は仁徳天皇の弟では、ありません。
「讃=仁徳」とすると、その次に即位する「珍」は仁徳天皇の弟でないといけないはずですが、そういう記録はないのです。
こういうと「いや、『古事記』や『日本書紀』の記述は信用できないから・・・・」という反論が来るかも、知れません。
しかし、仮に『古事記』や『日本書紀』が信用できないとすると、「大和王朝が古代から日本列島を統一していた」という『日本書紀』の歴史観も信用できない、ということになりませんか?
結局、「倭の五王=大和王朝」説というのは、『古事記』や『日本書紀』の記述から都合のいい部分だけを切り出して、無理矢理中国の歴史書に結びつけただけの主張なのです。
「倭の五王=大和王朝」説を否定した後で、私の意見を簡潔に述べます。
①邪馬台(壱)国は九州にあった、と私は考えます。近畿説の立場に立った場合、「倭の五王」の場合以上に『古事記』や『日本書紀』の記述との矛盾が顕著になります。
②3世紀の大和王朝の大王は、垂仁天皇・景行天皇・仲哀天皇の参人です。
③景行天皇の時代にヤマトタケルが九州王朝の大王と思われる「熊襲建(クマソタケル)」を「暗殺」したという記録が『古事記』にありますが、「暗殺=平定」ではありません。このことをもって大和が九州を平定した、とは考えられません。
④『日本書紀』ではさらに景行天皇による「九州大遠征」の記録が存在しますが、この説話は『古事記』に掲載されていないことを始め、不審な点が多くあります。(古田武彦著『盗まれた神話』参照)
⑤ヤマトタケルの息子である仲哀天皇の時代になると、大和王朝は改めて「熊襲征伐」を行います。本当に九州を大和が平定していたのなら、この「熊襲征伐」の記録は「浮いて」しまいます。
⑥そして、仲哀天皇はこの「熊襲征伐」に「失敗」します。『古事記』では「神様に殺された」、『日本書紀』の一書では「敵の矢に当たって戦死した」と記されていますが、いずれにせよ大和は九州に「敗北」したのです。
⑦その後の応神天皇や仁徳天皇は九州王朝との戦うのではなく、「和解」してあの巨大古墳造営の時代を切り開いたのだと思われます。
⑧従って、九州王朝は5世紀にも存続していたのであり、朝鮮半島での戦闘の「主戦力」となったのも、あくまで九州王朝でしょう。
⑨そうした流れでとらえると、倭の五王も九州王朝の大王であった、と考えるべきだと思います。
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【聖典より】
三韓征伐の時に――征伐と言いますと、大変こちらが強そうで侵略的でありますけれども、実はあの時には、新羅が日本に侵略してきたのであります。(註:新羅による日本侵攻の記録は大和王権にはない。九州王朝系の高良大社等に残る。)(略)
それは、新羅が攻めて来まして、日本が滅びるか、潰れるかと云うような国家の一大危機に当たっていましたので、神功皇后(註:実際には九州王朝の高良玉垂命である。)は住吉大神をお祀りして、日本の戦勝の祈願をなさったのであります。そしたら住吉大神が塩満珠と潮干珠という二つの珠――総称してこれを如意宝珠というのであります。この如意自在の宝珠をお投げになりまして、終に日本は新羅の海軍に大勝利を博したのであります。(谷口雅春先生『実相と現象』p.33~34)
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なぜ今ヴィーガニズムなのか (p.6)
反対派活動家は暗殺!家畜産業の闇と環境保護団体の欺瞞 (p.12)
家畜産業と多耐性菌――『日経サイエンス』の記事を読んで (p.15)
地球環境と生命倫理を考える (p.18)
第一回 「神を演じる時代」に問われる“保守”の真価
第二回 「保守」と「革新」の定義と違いについて
第三回 生命軽視の原点「優生思想」の誕生
第四回 現在も残る障碍者差別の危険思想「優生学」
第五回 優生思想と人口削減論
第六回 皇后陛下のメッセージと気候変動
第七回 気候変動と食糧危機の最大の原因は家畜産業
気候変動・海洋汚染を招く生命軽視・経済優先の唯物論文明 (p.31)
ネズミとも共生した日本人の魂と玄米菜食 (p.39)
第二部 万教帰一の観点から美貫を論ず
『聖書』の解釈とヴィーガニズム (p.42)
『コーラン』は原罪無しの真理を説く (p.60)
わかりやすい苦行と難行道と易行道 (p.67)
日蓮聖人は「唯神実相・唯心所現・万教帰一」の真理を説かれた (p.80)
『法華経』とアニマルライツと「天皇国・日本」の実相顕現 (p.87)
イスラム教と浄土真宗の肉食について (p.96)
第三部 仏教の真髄と「天皇国・日本」の真義
真の「天皇国・日本」とは本仏釈迦の霊山浄土である (p.124)
真言密教と日蓮教学は「天皇国・日本」に帰一す (p.148)
聖徳太子と『法華義疏』の真実 (p.161)
第一節 「遣隋使」は存在したのか
第二節 俀国とは九州王朝である
第三節 聖徳太子の前世と生い立ちの秘密
第四節 『法華義疏』は聖徳太子の著作ではない
第五節 「上宮法皇」とは何者なのか
第六節 聖徳太子の薨御と太子信仰
第四部 自然の生存権か国民主権か
「自然と調和した新しい文明の構築」のための憲法 (p.219)
「自然の生存権」と帝国憲法の現存確認は表裏一体 (p.223)
「第48回衆議院選挙に対する生長の家の方針」について (p.226)
政府による堕胎放置は憲法違反である (p.231)
第五部 生命尊重の世界実現のために
生長の家が自民党と決別した本当の理由 (p.234)
動物を殺す者は人間を殺すことになる――狩猟が殺す人 (p.237)
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日野智貴の5つの誓い
一、全ての人間を神の子として祝福礼拝し、縁ある皆様に法愛の精神で接して周囲を和顔愛語讃嘆で満たします。
二、「尊皇愛国・自然共生・生命尊重」を一体のものとして把握し、現代社会の喫緊の課題である地球環境問題に取り組みます。
三、生長の家総裁に中心帰一して人類光明化運動・国際平和信仰運動を通した日本国実相顕現に邁進します。
四、若者・学生・生徒・労働者・胎児・障碍者・薬害被害者の「いのち」と「権利」を断固擁護します。
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