生長の家正統派青年のブログ

生長の家青年会一信徒の個人のブログです。正統な宗教法人「生長の家」は1983年に自民党と訣別し、2016年以降は全ての国政選挙で自民党不支持を訴えています。ブログ記事の文責は教団ではなく私個人にあります。

明らかに生長の家とは異なる日本会議の女性観

 日本会議生長の家の主張の何が具体的に違うのか、説明しようと思って日本会議の公式サイトを見ていると、思わず笑ってしまった。

 ブラジル日本会議の理事長の小森広氏の次の文章が掲載されていたのであるが、これは最早ネタにしかならないものである。しかし、これを公式サイトに掲載すると言うことは、日本会議はこの主張を公式に大真面目に言っていると言うことになる。

家を整え、家族の要になり、家の経済を切り回し、子供をもうけ、子供を育てる、それにご先祖を護り、未来を切り開く力を持っているのが女性ではないか。どれひとつとってみても男には不可能な「仕事」である。

世界には男女平等指数とかいうものがあり、日本は参加国136カ国で105番目という。女性が男と同じように働いたら、平和が無くなり、子供が皆悪餓鬼ばかりになり、世界の未来に暗黒が立ち込める。グロバリゼーションを奨める西欧社会は、文化差をなくし、社会差を無くそうとする。静かに考える時、各地域にはさまざまな環境に合ったさまざまな文化が息吹いていることが望ましい。ましてや男女の差が無くてどうして人間生きてゆけるか。

大和おのこの偉さは唯一点、自分の稼いだものをすべて一銭も残さず女房に渡すことにある。ブラジルでもそうだが、稼いだお金は男が管理し、奥さんには毎朝必要なだけ渡す。そんな世界にしたいのならば、男女平等を奨めるが良い。職を維持するために、あどけない赤ん坊を人手にまかせ、朝早くから夕方まで働き続けることが、女性にとって望ましいことなのか。まだ年端もいかぬ子供たちを保育園に預け、一日を無事過ごしてくれるように祈りながら「仕事」に就くことが、母として良いことなのか。

www.nipponkaigi.org

 如何にもジェンダーフリー論者が読むと怒りそうな文章ではあるが、この文章の問題点はジェンダー観が古いからではない。と言うよりも、そう言う問題に矮小化してはならない。

 日本会議の言っていることは「家族の要にな」ることも「子供を育てる」ことも「ご先祖を護」ることも、いずれも「男には不可能」と言う主張である。

 ・・・つまり、日本会議の男たちは「家族の要にならない」「子供を育てない」「ご先祖を護らない」という、極左レベルの家庭解体の実践者と言うことになってしまう。これを笑わずにいられようか。

 日本会議の本部事務局を担っている日本協議会はこのことを訂正はしなかったのか。それとも本気で問題ないとでも思っていたのか。

 さらに皆の爆笑を誘うのは、次の一節である。

代議士にならなくても、社長にならなくても、日本の家庭の主婦であることが一番望ましい姿と思う。

 これを読んで「あんたら、二度と稲田朋美議員を称賛するなよ!」とツッコみたくなったのは、私だけではあるまい。

 大聖師・谷口雅春先生(生長の家初代総裁)は女性が経済的能力を持つことはむしろ夫婦の愛情を確かなものにすると言う見解であった。

 ですから、女性は、経済的理由でなしに、ただ純粋な愛情のゆえに、男性を選択し、その男性と傷害の伴侶となろうとするには、女性自身がまずいざという時たちまち独立(ひとりだ)ちできるほどの経済的にも能力を持っていなければならないのです。女性が経済的能力を握っている必要は、決して男にたてつくためでもなく、また、必ずしも、結婚後、家庭を出て社会に働けというわけでもなく、自分の良人に対する愛が、純粋に「愛そのもののための愛」であって、生活保証を得るための手段的な不純分子を混入していないということを自分自身にハッキリさせるために必要なのです。

 夫婦関係が、女性側に生活保証を得るための経済的理由を混入している場合は、最近はいかに「純粋な愛」によって結ばれた夫婦関係でありましても、そこに経済的従属関係ができ上がり、男性は経済的に主人公となり、女性はそれへの寄生的生活者となって女性そのものが完全な一個の独立人格たる自覚を失ってしまうことになるのであります。この「自覚の堕落」こそ女性が自覚せずして、自己自身の能力を縛っていることなのです。(『生命の実相』「女性教育篇」6頁 振り仮名の一部は括弧書きにした)

 無論、生長の家の教えはジェンダーフリー論とは異なる。

 ジェンダーフリー論では「夫婦共稼ぎが理想である」と言う。また、日本会議は「女性が男性のように働くと『子供が皆悪餓鬼ばかり』になる」と主張している。両者は一見正反対のことを言っているように見えて、実は同一のことを言っている。

 それは「働く」ということから意図的に家事を除外していると言う事実である。

 夫婦共稼ぎの家庭も今の日本では増えてきているし、その結果として「子供が皆悪餓鬼ばかり」になったという事実も無いが、現実問題としては充分な育休保証や子供手当の支給が必要になってくることは言うまでも無い。また、育休手当は現在は企業負担であるが、それは中小企業にとってはリスクである。

 そういう意味でジェンダーフリー論者がやたら夫婦共稼ぎを推奨するのは問題があり、先ずは夫婦共稼ぎでも子供を育てられるようにする環境を整備しなければならない。無論、「子供を育てることが男には不可能!」と言う日本会議は論外であって、例えば父子家庭でも子供をきちんと育てられるようにしないと、それこそ家庭解体が進んでしまう。

 主婦の家事を評価すべきことは谷口雅春先生はこう言われている。

「家庭の婦人」を働かない婦人だと観る観念は、男性の「俺は妻を養っている!」という言葉を生むのです。「俺は妻を養っている!」――この、良人の不公平な傲語によって、いままでどれだけ多くの女性が蹂躙(ふみにじ)られてきたことでしょう。そのくせ、家外と家内との相異こそあれ、妻も良人も同じように働いているのです。稀には有閑婦人と称する種類の女性がありますが、そんな変態な一部の婦人のことはここには申さないことにいたします。ことごとくの「家庭の婦人」を有閑婦人と考えるのはまちがっているのです。大多数の家庭の婦人は、社会に出て働いている男性の会社員や銀行員や官吏や公吏よりも長時間猛烈に働いているのです。彼女たちはまだ良人が眠っている薄暗い時から起き上がって家の内外を掃除し、朝の炊事その他いっさいの家庭の支度万端をするのです。これをどうして「働かない婦人」だということができましょう。料亭や船舶で炊事をする男は「板場」であるとか、「炊事夫」とか料理長とか司厨長とかいって月給を貰います。「家庭の婦人」はそれらの人よりいっそう朝早くから同じような仕事を励みながらも、良人からは「お前は家にいて働かないで飯を食っているのだ。わしはおまえを養っているのだ」と罵られがちです。男性はも少し「家庭の婦人」の働きの実相について同情がなければならないと思います。この同情がないことが、家庭の空気を冷たいものにし、男性を家庭外の誘惑にかかりやすくならせる原因の一つになっているのです。

 家庭でいくら働いても、女性自身でさえも「家庭の婦人」を「働かない婦人」のうちにともすれば入れようとするのはなぜでしょうか。その理由をここに考えてみたいと思います。それは「家庭の婦人」は朝早く起きて働いても月給を貰わないからです。月給を貰わない働きは経済活動の中にいれられず、不生産的だと誤解され、時には働きが全然ないと軽蔑せられ、「わしはお前を養っている」と言われるのです。しかし、静かに考えてごらんなさい。「家庭の婦人」はどんなにか働いていることよ!(引用前掲書、27~29頁 振り仮名の一部は括弧書きにした)

 谷口雅春先生自身は、夫婦共稼ぎが悪いとは特に言っていない。それどころか、女性が稼いでくるような形態の家庭もあるであろうと考えておられる。

夫婦には分担があり、一家においてその受け持つべき役割は異なっています。外から収入を運んで来るのはおおむね良人であり、それを、料理費に、住宅費に、被服費に、消費するのは夫人の役目であるように考えられています。ある家庭ではその逆が行われ、ある家庭では夫婦共稼ぎに外から収入を運んで来るために、それを消費するのは家政婦や女中であったりすることがありますが、これは大多数の家庭ではありませんから、今しばらく考えないことにいたします。(引用前掲書、25頁)

 つまり、雅春先生の時代には女性が主として稼いできたり、夫婦共稼ぎであったりするのは「大多数の家庭ではありません」と言う状況であったのでそれに合わせて指導されたのであって、今みたいに夫婦共稼ぎの方が「大多数の家庭」である時代においても共働きについて「考えないことにいたします」と言われるはずがない。

 ただ、それと谷口雅春先生が今の日本の共働き推奨の風潮に賛同されるかは、又別問題だ。谷口雅春先生の頃の「共稼ぎ」の夫婦は二人の収入があるため裕福で女中もいる、そう言う家庭が少なくなかった。

 生長の家が重視していることは、家を守ると言うことである。家を守るために「夫婦で分担」が必要であるということであって、それが直ちに共稼ぎを否定すると言うことにはならない。

 そもそも自分から「子供を育てない」「ご先祖を護らない」と言っている日本会議の小森氏らは、本心では家を守る気など毛頭ないのではないか。

 日本会議系の政治家で生長の家の名前を僭称している自称「谷口雅春先生を学ぶ会」の稲田朋美議員に至っては、朝日新聞の取材でどこの左翼かと思うことを堂々と言っている。

――稲田さんご自身は配偶者の姓を選ばれたのですよね?

はい。結婚したのは、弁護士になってまだ4年目でしたし、そういう時代でした。婚前氏続称制度が導入されても、今の姓を変えるつもりもありません。ただ、夫の家に入ったという意識はありません。

www.asahi.com

 これが自分の家を守るために夫の家に入らないと言う選択肢ならば、当然尊重されるべきである。

 谷口雅春先生の叔母の谷口きぬ様も次女でありながら戸主であったため、事実婚をされた経緯がある。そのような選択肢は尊重されないといけない。

snitennoukokunippon.hatenadiary.com

 が、稲田朋美議員は自分から夫の名字に改氏した。つまり、実家の家名を捨てたのである。

 にもかかわらず「夫の家に入ったという意識はありません」と語る。一体、何家の人間のつもりなのか、と問いたくなる。

 リベラル派の人間が言うならばともかく、家を重視する保守派の人間が言うと不味かろう。

 そして、そのような家庭解体思想を持つ似非保守政治家を応援している宗教法人があり、そこが大聖師の名前を僭称している。

 言うまでも無く、日本会議系の団体である自称「谷口雅春先生を学ぶ会」である。そこは件の稲田朋美議員の発言の後で、安倍首相が辞任した際にこう述べている。

しかし、そういう中で、一筋の光明を見出すこともできました。
若き日、『生命の實相』に導かれた稲田朋美先生が、辞任表明後に安倍首相から直に伺ったというこの言葉。
「これから人事もあるし、国会もあるし、ここで余力を残して辞任するのが一番」
安倍首相は決してこれで終わりではないと、この言葉で確信することができました。
健康が快復すれば、安倍首相は今後も、引き続き、隠然たる存在感を示していかれるに違いありません。年齢だってまだ65歳です。今、渦中の菅官房長官にいたっては71歳なのです。まだまだこれからです。

manabukai.org

 今回は日本会議の主張の判りやすい問題点について触れたが、上記リンク先にはもっと重要な雅春先生の御教え改竄が存在する。それについては稿を改めて論じたい。

 

お薦めの書籍

立憲民主主義が学べる本

生長の家が支持する立憲民主主義とは何か、立憲民主主義とはどういう思想なのか、が学べる本です。

 


 

生長の家発行・谷口雅宣先生監修の立憲主義の必要性を訴えたブックレットです。現在の岸田政権にも受け継がれている安倍政治の根本的な問題が記されています。

 


 

生長の家自民党不支持に至った経緯について説明しているブックレットです。生長の家信徒のみならず、生長の家と政治とのかかわりについて知りたい方にとっても必読です。

 


 

生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生の推薦図書です。国家神道体制の問題点と現代への教訓が記されています。

 


 

ブックレットの参考文献にもなっている立憲主義の解説書です。著者の佐藤幸治先生は自衛隊合憲論を唱えるなど左翼的な宮澤憲法学とは一線を画す一方、自民党による立憲主義軽視に反対している気骨ある憲法学者です。

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どうして生長の家ではノーミート(菜食)を推奨するのか、について谷口雅春先生が判りやすく説明されています。生長の家信徒で無い方にも判りやすい一冊です。

 

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生長の家の生活について記された一冊。谷口雅春先生ご一家の話も触れられており、信徒が読むと感動すること、必至です。

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生長の家における「愛国」とはどういうことなのか?この本を読むと生長の家が言う愛国の教えと今の自民党日本会議が展開している路線とが全く異なることに気付くと思います。

 

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大和の国日本 占領下の啓示とその後の論策 [ 谷口 雅春 ]
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「軍国日本は本来無き国であるから亡びたのである!」――終戦直後に住吉大神から大聖師・谷口雅春先生に下った神示と、それについての谷口雅春先生ご自身による解説です。

楠本加美野先生の本

生長の家長老である故・楠本加美野先生のご著書です。

 


 

生長の家での流産児供養の体験談や生命尊重運動の必要性について述べられている本です。

 

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「親孝行の神様」と言われた楠本加美野の体験が記された本です。

野沢幸平先生の本

生長の家教職員会会長・奥羽大学教授等を歴任された野沢幸平先生のご著書です。

 

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従来あまり注目されていなかった菌類を含む生態系の調和について記されています。