生長の家正統派青年のブログ

生長の家青年会一信徒の個人のブログです。正統な宗教法人「生長の家」は1983年に自民党と訣別し、2016年以降は全ての国政選挙で自民党不支持を訴えています。ブログ記事の文責は教団ではなく私個人にあります。

靖国神社は「国家護持」ではなく「国民護持」とするべきである

靖国神社

 生長の家新日本宗教団体連合会新宗連)には加盟していないのであるが、それについて一部には「靖国神社国家護持法案への意見が違ったから」と言う俗説が広まっているようである。

 しかし、実際には生長の家新宗連から脱退したのは靖国神社国家護持法案が提出されるよりも遥か以前のことである。

 立正佼成会信者でもある新宗連事務総長の佐原透修氏が書いた靖国神社についての見解を見ると、私は生長の家と大きく違わないと感じた。

 

2.国家護持よりも国民護持を — 靖国神社法案への対応

 「信教の自由」を守る活動のひとつとして、新宗連は1960年代から70年代にかけて、靖国神社国家護持問題と対峙してきました。戦後、靖国神社GHQによる「神道指令」により、国家の管理を離れ、民間の宗教法人となっています。しかし、1964年から1974年頃、靖国神社を再び国家管理しようとする法律の制定が提案されていました。これに対して、新宗連は大規模な反対運動を展開しました。

 1968年には、「神社という宗教施設を国家管理することは、政教分離の原則に反し、信教の自由を侵害する」と反対の姿勢を示しました。この後、新宗連は1969年から靖国神社国家護持反対の署名運動を展開し、最終的には1360万人の署名を集めました。また、1970年には「靖国神社問題特別委員会」を設置し、新宗連の青年会組織である新日本宗教青年会連盟(新宗連青年会)は1974年、靖国法案抗議集会を各地で実施し、デモ行進などを行いました。

 当時、こういった活動を展開した理由は、靖国神社の国家管理は靖国神社を特別扱いすることとなり、政教分離原則に違反するという点にありましたが、宗教団体である靖国神社の「信教の自由」を侵害する点にもありました。憲法の規定上、国家管理をするためには、靖国神社は「非宗教施設」とならなければならず、靖国神社の宗教性を排除することが必要になります。具体的に言えば、信者への教化活動の禁止、おみくじの禁止、「祝詞」から「英霊に対する感謝の言葉」への変更、修祓の儀の禁止、などが靖国神社に課されるということです。これは「何が『宗教』か」を国家が決めることを意味し、靖国神社は宗教団体ではない、と示すことは、靖国神社の宗教性を否定することになり、靖国神社靖国神社を崇敬する人たちの「信教の自由」を侵害することになります。こうしたことから、当時の新宗連は慰霊とは国家権力に強制されるものではなく、国民一人ひとりの心によって支えられるべきだと主張し、「靖国神社国民護持」を提唱しました。靖国神社の宗教性を大切に思うからこそ、国家護持に反対し、国民護持を訴えたのです。

 その後も、新宗連は総理大臣らの靖国神社「公式」参拝に反対をしています。その大きな理由は、靖国神社への参拝が宗教的な心情からではなく、政治利用されている点に問題を感じるからです。ここでも靖国神社の宗教性が蔑ろにされていることを批判しています。

(佐原透修「憲法が保障する「信教の自由」を守るために」法学館憲法研究所)

 

 

 生長の家初代総裁・谷口雅春先生も「靖国神社国家護持法案」について同様の理由で反対を示していた。

 

 この提案理由を読んでみると、一字も“祭祀”という語を用いず、「まつる」とも言わず“護る”といい、“護持する”といっていて、出来る限り、宗教語を避け、その「まもる」又は“護持する”ことが、憲法二十条に定められたる「国及び政府機関」がしてはならない「宗教活動」とみとめられて、違憲のそしりを受けないように、謂わば「表現の微妙なカラクリ」によって、「英霊を祭祀すること」を「祭祀するのではない」「まもるのだ」「護持するのだ」と言いのがれる工夫が凝らされているのである。

 そしてその靖国神社なる建物を「国民の負担においてまもる」ことは、神社に「祭祀されたる英霊」にこたえるためではなく、「英霊に対する国民の尊崇の念にこたえる」ためになっているのである。(略)

 しかも国家が祭祀することを祭祀といわずに「護持」といってその記念碑的建物を保存維持する経費を国家が負担するというような、半ば唯物論的表現になっているのである。

 しかも、この提案理由の説明によれば

「国民の名において、かつ国民の負担においてまもること、すなわち靖国神社を国家護持すること」

となっており、“国民”と“国家”とが混同されているのである。(略)国家のために命を棄て、「天皇陛下万歳」と叫びながら死んで往った英霊の心が慰められるであろうか。そして“国家護持”と称する意味不明の表現の下で、ノリトを誦えることも“宗教活動”として遠慮しなければならないような状態で、国民がその護持の費用を受けもってくれても、果して「英霊の心は慰め」られるであろうかと私は疑問に思うのである。

谷口雅春『私の日本国憲法論』223~224頁)

 

 

 そして、谷口雅春先生は次のように結論付けている。

 

信教は自由であるから靖国神社が宗教法人そのままで天皇陛下が御親祭あらせられても一向差支えはないと私は思っている。そしてその費用は、吾々が先祖の霊を祭る仏壇を購入し維持するのに、自分の家計の中から支出するのと同じように皇室費の中から天皇御自身の費用として支出することにすればよい訳である。“天皇陛下万歳”と唱えて国家に命ささげた忠誠の英霊のために謹んでこの稿を認める。

(引用前掲書、225~226頁)

 

 

 信仰上の話は谷口雅春先生が既に言われている通りであると思うが、政治的には様々な考えがあるであろう。

 例えば、靖国神社の祭神の一柱とされている松岡洋右らは、軍人ではなく(つまり、如何なる意味でも「国家に命ささげた」訳ではない)、東京裁判でも判決が下る前にベッドの上で死んだのであり、一部にいわゆる「戦争犯罪人」は“報復判決”の色彩の強い戦犯裁判で裁かれたのだから法務死(殉難者)として扱うべきだと言う意見もあってそれにも一理はあるかもしれないが、松岡洋右はそういう訳ではない。

 松岡洋右ナチスドイツやソ連と組もうとした人間であることもあり、彼を靖国神社の祭神と私は認めることが出来ない。従って、私は靖国神社にも好んで参拝はするが、仮に私が国務大臣等の地位にあると靖国神社に参拝は難しいであろう。

 というのも、今の「私人」である私は「靖国神社の祭神に松岡洋右は含まれないものと解釈する」という“留保付き参拝”は可能であるが、仮に私が「大臣」としてそれをすると、今度は権力者が靖国神社へ干渉していることになってしまう。逆に、何の留保も無く参拝すると仮に「私的参拝」であっても「松岡洋右を神とする行為」を事実上追認していると解釈されて政治的責任を問われるであろう。

 生長の家の一信徒とすれば、靖国神社が正常な状態となることを願ってやまない。

 

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